2021/04/02
こんにちは 高崎市安藝動物病院です。
今回はねこちゃんの尿管閉塞に対する手術を行いましたのでご紹介いたします。
もくじ
尿管とは
尿管とは
尿管とは腎臓と膀胱をつなぐ管状の臓器です。
ねこちゃんの尿管の内径は非常に狭く、0.4mmと言われています。
図のように腎臓は腰のあたりに左右2つあります。その腎臓と膀胱をつなぐ管が尿管です(矢印)。
腎臓で作られた尿は尿管を通って膀胱に蓄積されます。
尿管結石とは
尿管結石とは
そこに結石が詰まって尿が流れなくなったり、結石により尿管が傷つくことで尿管狭窄を起こしてしまいます。
それによって尿管閉塞を引き起こします。
治療法
治療法
尿管結石の治療は内科的治療と外科的治療に大きく分けることができます。
内科的治療
内科的治療では尿量を増やしたり、鎮痛薬を使用することで尿管結石が自然と流れるのを期待します。
しかし、流れない場合があり、その場合、急性腎障害が起き、腎臓の機能が失われてしまうことがあります。
外科的治療
外科的治療には以下の方法があります。
①尿管結石の摘出術(尿管縫合、尿管吻合)
②尿管膀胱新吻合術
③SUB(皮下バイパス)システム設置術
①尿管結石の摘出術
尿管結石を取り除き、尿管を縫合したり、あるいは傷ついた尿管を切除し、断端同士を縫い合わせます。
②尿管膀胱新吻合術
尿管の断端を扇状に切り開き、膀胱に直接縫い合わせる方法です。
③SUBシステム設置術
SUBシステムという腎臓と膀胱をつなぐ管を皮膚の下に設置します。
①〜③の手術方法を選択したり、組み合わせたりしながら尿管結石の治療を行なっていきます。
その子にあった治療方法を担当医と相談することが重要です。
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今回のねこちゃんは数日前から元気食欲がないとのことで来院されました。
この子は数ヶ月前に尿管結石の摘出、縫合術を実施した子です。
術後は腎臓の数値が落ち着き、慢性腎臓病の治療を行なっていました。
各種検査を行うと、尿管が再度閉塞し、急性腎障害が起きていることがわかりました。
再度、尿管結石を摘出し、縫合する方法。SUBシステムの設置術などをご提案し、今回はSUBシステムを設置することとしました。
(SUBシステムはすごくいい術式ですが、人工物であるため術後のケアも必要です。どの術式を選択するかはその子の状態によりますので担当医と十分話し合う必要があります)
術後のレントゲン写真です。
白く見える管が腎臓と膀胱をつないでいます。
この子は術後、順調に腎臓の数値が下がり、現在は慢性腎臓病の治療を続けながら経過を診ています。
腎臓は障害を受けると再生しない臓器です。
なるべく早く適切な治療を行うことが重要です。