2020/12/02
こんにちは高崎市 安藝動物病院です。
今回は腹腔鏡補助下で膀胱結石摘出術を行いましたのでご紹介します。
腹腔鏡補助下膀胱結石摘出術について
膀胱結石は、血尿の原因になったり小さな結石の場合は尿道に詰まることで尿道閉塞を引き起こすことがあります。
治療法は食事療法で溶けるタイプの結石(ストラバイト)の場合は食事療法を行います。
溶けないタイプの結石(シュウ酸カルシュウム結石など)の場合は症状を起こすようであれば外科的に結石を取り除く必要があります。
どのタイプの結石が出来ているかは尿検査である程度予想することが出来ますが、100%わかるわけではありません。
実際に結石を摘出し、結石分析に出す必要があります。
今回の患者さんは去勢オスの猫ちゃんです。
数年前に膀胱結石が尿道に詰まり、緊急で尿道閉塞解除と膀胱結石摘出術を行いました。
食事療法と定期的な尿検査、超音波検査を行っていましたが、膀胱結石が出来てしまい、尿道に詰まってしまったため来院されました。
閉塞の解除を行ったのち、再度、結石の除去を行うこととしました。
(なんども閉塞を繰り返す場合は陰茎を切除する方法を行う場合もあります。尿道を皮膚に縫合し、尿道瘻を作ります。会陰尿道造瘻術といいます。閉塞の危険性は低くなりますが、陰茎尿道を切除することで膀胱炎を起こしやすくなったり、尿道狭窄、尿やけという合併症もあります。治療方法はメリット、デメリットがありますので担当の先生とよく話し合うことが必要です。)
前回は開腹手術で膀胱結石の摘出を行いましたが、今回は腹腔鏡補助下で行うこととしました。
メリットとしては傷が小さく回復が早いです。また膀胱結石は小さなものが膀胱のひだに隠れてしまい取り残す危険性や、尿道結石を取り残す危険性があります。しかし、カメラの拡大視野で見ることで取り残しを防ぐことができます。
以下、実際の手術写真が出てきます。
右に見えるのが膀胱結石です。縦に見えるのが尿道カテーテルです。
右下に見えるのが鉗子です。結石を掴み、摘出しています。
カメラで粘膜をよく観察し、取り残しがないように手術を終えました。
術創は小さく(5mmと10mmの2箇所です)、猫ちゃんは術後すぐからご飯を食べることができました。
腹腔鏡手術には大きなメリットがあります。今回の場合は傷が小さく、拡大された視野で見ることで正確な手術を行うことができました。
しかし、デメリットとしては、手術時間の延長や腹腔鏡手術による合併症(皮下気腫)などがあります。
手術を検討される場合は、よく話し合って手術方法を決定していく必要があります。
避妊手術も腹腔鏡下で行うことで患者さんの負担を軽くすることができます。
腹腔鏡手術に興味を持たれた方はお問い合わせください。