2020/07/26
こんにちは高崎市安藝動物病院です。
春の健康診断で肝臓の値が高い、胆嚢の値が高いと言われた患者さんもいらっしゃると思います。
当院で実際に飼い主さんにどのようなお話をしているかまとめてみました。
何回かに分けてご説明していこうと思います。
胆嚢は肝臓で作られた消化液「胆汁(たんじゅう)」を溜めておく臓器です。
食事のタイミングに応じて胆嚢から胆汁が十二指腸に流れることで消化を行います。
胆汁は通常サラサラの液体ですが、胆泥(泥状)、胆石(石)、粘液嚢腫(ゼリー状)に変化することがあります。
また感染を起こすと胆嚢炎になります。
なぜこのような変化が起こるか、どのようなメカニズムで起こるか、どのくらいの時間をかけて変化していくのかはまだ正確には解明されていません。
胆石症は細菌感染が胆嚢粘液嚢腫は甲状腺機能低下症、副腎皮質機能亢進症が関与している可能性があります。
胆嚢の病気は悪化してしまうと命が危険にさらされてしまうものも多いので早期に発見し、治療を行うことが重要です。それぞれの疾患をご説明します。
胆泥症(たんでいしょう)
胆汁がサラサラではなく、泥状になってしまう状態です。
血液検査で肝臓(GPT、GOT)や胆嚢(ALP)の値が上がっていない場合は経過観察をすることがありますが、値が上がっている場合は治療を行うことが多いです。
胆泥症の治療法
内科療法は食事療法と利胆剤(ウルソ)、総胆管の括約筋を開かせるお薬(スパカール)を使用します。
外科療法は胆嚢摘出術を行います。同時に肝生検を行います。胆嚢の疾患には肝臓が深く関わっています。肝臓の状態を知ることで今後の治療に有用な情報が得られます。
胆泥症と胆嚢炎になってしまった子の胆嚢内容物。ドロドロの胆汁になってしまっています。
次回以降も胆嚢疾患の話をしたいと思います。