2020/04/23
こんにちは安藝動物病院です。
今日は腹部にしこりができたのとことで中齢の女の子のねこちゃんが来院されました。
触診をしてみると約2cmのしこりが触知されます。
ねこちゃんの乳腺腫瘍は悪性のものが多いため、レントゲン検査、超音波検査で転移チェックを行いました。
転移病巣はなかったため、手術を行うこととしました。
手術方法は片側乳腺全切除、または両側乳腺全切除が必要です。
ねこちゃんの場合は乳腺腫瘤のみを切除する方法は推奨されていません。
今回は確実に病巣を切除するために飼い主さんと相談し、
①両側乳腺切除
②リンパ節切除を行うこととしました。
(乳腺のリンパ節は腋窩リンパ節、副腋窩リンパ節、鼠径リンパ節、副鼠径リンパ節です。)
以下、手術の写真が出てきます。
腫瘤の切除前です、多発した乳腺腫瘤が認められます。
両側乳腺を切除し、底部マージンも確保しています。
縫合後の写真です。
術創が大きくなり、痛みもありますので、麻薬系鎮痛剤の持続投与と局所鎮痛を行なっています。
病理組織学的検査結果は乳腺癌でしたが、完全切除、リンパ節転移なしでした。
今後は、追加療法も含めて飼い主さんと相談していく予定です。
当院はキャットリボン運動に協力しています。
キャットリボン運動とは乳腺癌で苦しむねこちゃんのゼロにしようという運動です。
腫瘍の専門医や一般診療医が協力して飼い主さんへの啓蒙運動などを行なっています。
ねこちゃんの乳腺癌は適切な時期に避妊手術を行うことで発生率をほぼ0パーセントにすることができます。
また、不幸にも腫瘍ができてしまった場合も適切なサイズのうちに、適切な外科手術を行うことで再発や転移のリスクを下げることができます。
飼い主のみなさんによりこの病気を知ってもらえ、早期に治療を行なってもらえればと思います。
また当院はキャットフレンドリークリニック(シルバー)に認定されています。(群馬県では2施設です)
ねこに優しい診察を心がけております。