2020/04/10
こんにちは安藝動物病院です。
今回は下顎に発生した扁平上皮癌の猫ちゃんの症例をご紹介します。
この猫ちゃんは下顎が腫れてきたとのことで他院を受診されました。
骨から発生する腫瘍と言われ、治療法をもとめてセカンドオピニオンで当院を受診されました。
視診では左の下顎骨から発生しているであろう腫瘤が認められます。
レントゲン検査で骨増生を伴う腫瘤が認められます。
組織診断の結果、扁平上皮癌との診断を得ました。
猫ちゃんの口腔内の扁平上皮癌は極めて予後が悪いとされています。
内科治療、放射線治療、外科治療の成績もよくないと報告があります。
しかし、広範囲に腫瘍を切除することができれば予後が見込めることが最近の研究でわかってきました。
今回は幸い、腫瘍の浸潤が正中まで及んでおらず、後方と尾側への浸潤がありません。
病側の下顎骨を切除すれば根治が見込めます。
しかし、その場合は外貌の変化と、胃チューブからの給餌を許容しなければいけません。
飼い主様と相談し、手術を行うこととしました。
手術は病側の下顎骨片側全切除、反対側の吻側部分切除を行いました。
以降、手術の写真が出てきます。
病変部を完全切除することができました。
遠隔転移には注意が必要ですが、ひと安心です。
現在、術後2ヶ月が経過していますが局所再発、遠隔転移もありません。
給餌もご家族みんなで協力していただき、猫ちゃんは元気に過ごしてくれています。
毛づくろいもできるようになったそうです(^ ^)
今回は組織診断による正確な診断と、飼い主様の決断、正確な外科手術がよい結果につながったと思います。
高齢のワンちゃん、猫ちゃんは人と同じようにガンに罹りやすくなります。
しかし、正確な診断と治療法で根治を目指すことのできるガンもあります。
ガンと診断されたら一度ご相談ください。