2020/04/10
犬の乳腺腫瘍は避妊手術を行っていないメスのわんちゃんに多く発生します。
女性ホルモンの関与が示唆されており、
初回発情、第1回目発情、第2回目発情以前に避妊手術が実施されることで発生率を大幅に下げることが知られています。
また約半数が悪性腫瘍とされており、治療の第一選択は外科的切除で病変を取り除くことです。
症例紹介【乳腺腫瘍】
17歳齢、メスのわんちゃん
今回の患者さんは他院で乳腺腫瘍があることは指摘されていましたが、
手術は薦められなかったそうです。
元気食欲の低下を主訴に当院を受診されました。
巨大な乳腺腫瘍は自壊し、出血していました。
また血液検査、画像検査の結果、
大きな乳腺腫瘍の他に子宮蓄膿症を併発していることがわかりました。
以降、手術の画像などが出てきます。
苦手な方はご遠慮ください。
レントゲン検査画像です。
左胸壁に石灰化した巨大な腫瘤を形成しています。
年齢と全身状態の悪化がありましたが、検査の結果、
麻酔はかけることが可能であろうと判断し、手術を行いました。
子宮卵巣摘出と乳腺腫瘍の切除を行いました。
手術時の写真です。
かなり巨大な腫瘤を形成していることがわかります。
切除後の乳腺腫瘍です。
手術は無事成功し、元気に退院されました。
病理診断結果は悪性乳腺混合腫瘍との診断でした。
マージン部に腫瘍細胞はなく、脈管浸潤もありませんでしたので
完全切除ができました。
今後は再発チェックと飼い主様のご希望があれば追加治療を行っていきます。
早期の避妊手術と腫瘤を発見した場合は早期検査・早期治療が必要だと考えさせられました。
当院では他院で麻酔をかけれない、
手術ができないと言われた患者さんが多くいらっしゃいます。
軟部外科手術を得意としており、
手術が必要な患者さんを多く診察させていただいております。
治療方針や手術に関して、セカンドオピニオンも受け付けております。
なにかお困りのことがありましたらご相談ください。