2022/08/17
こんにちは。高崎市安藝動物病院です。
当院では県内で唯一、腹腔鏡を用いた体への負担の少ない腹腔鏡手術を実施しおります。
今回は腹腔鏡手術で副腎腫瘍を摘出した患者さんについてご紹介いたします。
この患者さんはかかりつけ病院で肝臓腫瘍を指摘され、手術希望で来院されました。
肝臓腫瘍の精査を実施したところ、肝臓腫瘍と副腎腫瘍があることがわかりました。
肝臓腫瘍は巨大だったため、先に手術を行うこととなりました。
この手術は開腹手術で無事終了し、腫瘍も良性病変で完全切除されていたため、経過観察を行なっていました。
しかし、経過を見ていく中で小さかった副腎腫瘍が大きくなってきたため、飼い主さんと相談の上、副腎腫瘍の摘出術を行うこととなりました。
術前のCT検査画像です。矢印部分が副腎腫瘍です。
副腎という臓器は腹腔内臓器の一番奥に位置します。そのため術野の確保が重要になりますし、重要な血管に近接しているため、高度な手術技術が必要となります。
この2つの問題を解決してくれる方法が腹腔鏡手術です。
通常の開腹手術であれば、術野の確保には大きな切開が必要となりますが、患者さんには大きな負担となります。
しかし、腹腔鏡手術を行うことで小さな術創で手術を行うことが可能です。
また、高画質カメラを用いることで肉眼の6~10倍の視野で術野を見ることが可能です。
これにより、小さな血管も損傷しない正確な手術が可能となります。
手術は無事終了し、合併症もなく退院されました。
抜糸時の写真です。
傷跡はほとんどわかりません。
病理組織学的検査は副腎腺腫という良性腫瘍でした。
今後も定期的な検査をおこなっていく予定です。
副腎腫瘍摘出術は腹部外科手術の中では高難易度手術になります。
当院では十分な設備、人員を配置し、トレーニングを重ねた外科医が執刀しております。
安全な医療を提供できるよう今後も研鑽していきます。