2021/01/13
こんにちは高崎市 安藝動物病院です。
今日はわんちゃんの肝細胞腫瘍(がん)についてお話しします。
犬の肝細胞腫瘍とは
犬の肝臓腫瘍は比較的稀な腫瘍です。
しかし、高齢犬に認められる肝臓に結節を作る良性腫瘍である結節性過形成を含めると比較的遭遇しやすい腫瘍であると考えられます。
肝臓腫瘍は肝細胞性、胆管性、神経内分泌性あるいはカルチノイド、間葉系に分類されます。
腫瘍のでき方によって塊状、結節状、び漫性の3タイプに分けられます。
症状
腫瘍が巨大な場合は消化管が圧迫されることによる食欲不振や嘔吐が見られることがあります。元気がなくなることもあります。
またお腹が張ってきたことに飼い主様が気付かれることもあります。
比較的大きくなるまで症状が出ないこともあります。
検査
血液検査
貧血、肝酵素、血糖値などを検査します。また持病がないかも検査します。
細胞診検査を行う場合は血液凝固系検査も行います。
エックス線検査
肝臓腫瘍の評価を行います。この検査のみで評価することは困難です。
超音波検査
肝臓腫瘍がどこからどのように出ているのか検査します。
また超音波造影剤を使用することで腫瘍の種類を類推します。
CT検査
腫瘍の位置、数、大きさ、転移の有無を調べます。
手術適応かを判断します。
また、手術を行う場合は血管の位置関係が重要なため、CT画像を元に手術計画を立てます。
細胞診検査
腫瘍の種類、良悪を判断します。鑑別が困難な場合もあります。
また出血リスクもあるため実施するかの判断が必要です。
治療法
外科療法
腫瘍が限局している場合は外科療法が第一選択となります。
腫瘍の部位によって肝臓部分切除、完全肝葉切除が実施されます。
完全切除することができれば予後良好です。
出血リスクがあるため綿密な手術計画が必要です。
※当院で実施した肝葉切除の例です。
https://www.aki-animal-hospital.com/blog/636
内科療法
有効性のある内科療法は明らかではありません。
症状に応じた、対処療法を行うことでQOLを維持します。