2020/12/12
こんにちは高崎市 安藝動物病院です。
腹腔鏡補助下脾臓摘出術を実施しました
脾臓腫瘤は中高齢の犬にときおり見つかる病気です。
超音波検査やレントゲン検査で脾臓を描出することにより発見します。
脾臓に腫瘤がある場合、
結節性過形成、血腫、血管腫、腫瘍(血管肉腫、リンパ腫、肥満細胞腫(猫)、組織球性肉腫、軟部組織肉腫、転移性腫瘍)、膿瘍、脾梗塞などが考えられます。
脾臓は血流豊富な臓器のため腫瘤が巨大になってくると破裂し、腹腔内出血を起こす可能性があります。
細胞診や組織生検検査で外科的な治療が必要と判断された場合、脾臓摘出術が実施されます。
(ある種の腫瘍は化学療法が適応になることがあります。)
また、細胞診を実施せずに治療と診断を兼ねて脾臓摘出術を行う場合もあります。
今回の患者さんは、ゴールデンレトリバー、男の子です。
全身の検診で脾臓に約30mmの腫瘤が見つかりました。
そのほかに持病や転移病変はありません。
飼い主さんと相談し、負担の少ない腹腔鏡を用いた脾臓摘出術を行うこととしました。
従来の脾臓摘出はお腹の上の方からヘソのあたりまで大きく皮膚を切開する必要があります。
今回は腹腔鏡を用いたため、約55mmと5mmの術創で手術を行うことができました。
また血管の処理には超音波メスを用いることにより、出血はありませんでした。
(以下、手術の写真が出てきます)
中央の術創が55mm、陰茎の横が5mmの術創です。
体格に比べてかなり小さな術創です。
今回は去勢手術も行なっているため陰嚢部分にも術創があります。
負担の少ない手術を行うことができ、術後の回復も早かったです。