安藝動物病院

群馬県高崎市にある地域密着の動物病院|安藝動物病院(あきどうぶつびょういん)

2017.6.28 過去ブログ 【歯石除去について】

こんにちは安藝動物病院です。

先月はフィラリア検査などで病院が混み合いました。

大変お待たせしてしまい申し訳有りません。

現在は落ち着いています。診察は涼しくなった18時ごろがオススメです。

 

 

 

さて、フィラリアの検査で病院にいらっしゃった飼い主さんの中で、

多い質問がありましたので、ここでお答えします。

 

「先生、うちの子口が臭いんですよ」

「歯石がびっしり付いているんです。取れますか」

「歯石取りって全身麻酔が必要なんですか」

 

 

 

「先生、うちの子口が臭いんですよ」

まず、口臭について。

 

通常、正常なワンちゃんの口臭がきついことはありません。

当然生き物ですので臭いがありますが、

口腔内にトラブルがない子は臭うということは有りません。

 

口臭があるということは歯石が付着し、歯周病があったり、

口腔内に腫瘤が存在する可能性があります。

一度、獣医師に相談してください。

 

 

 

 

「歯石がびっしり付いているんです。取れますか」

「歯石取りって全身麻酔が必要なんですか」

歯石除去について。

歯石は専用の機械である超音波スケーラーやキュレットという器具を使用し除去します。

 

 

 

通常、目に見えている歯石だけでなく、歯肉と歯の間にも歯石は蓄積しています。

歯と歯肉の間に溜まった歯石は歯肉に炎症を起こし、歯周病の原因となります。

 

ですから、目に見える部分だけでなく、歯と歯肉の間に溜まった歯石を除去することが

歯周病の予防に重要です。

 

 

 

全身麻酔をかける必要があるの」

「はいっ」

ワンちゃん、ねこちゃんは治療の理由を理解してはくれませんので、

麻酔をかけて不動化することが必要です。

歯周病の子は下顎の骨がもろくなっている場合があるので、

下顎骨骨折を起こす可能性があります。

 

 

また、歯と歯肉の間を綺麗にする必要があり、

重度の歯石の場合は痛みを伴うこともあるため鎮痛という意味でも麻酔が必要です。

 

 

 

最近、無麻酔で歯石除去を行うことを謳うペット関係者がいますが、

表面だけを綺麗にすることはあまり意味がありません。

 

 

 

 

歯と歯肉の間を綺麗にしなければいけないこと。

また、骨折などのリスクを考えるとどちらを選択した方が良いかは明確だと思います。

 

 

 

 

 

 

 

 

歯周病は様々なトラブルを引き起こします。

 

 

歯瘻(しろう)

歯周病や破折が原因で歯根に膿が溜まり、口腔粘膜や皮膚に瘻管ができること。

 

口鼻瘻(こうびろう)

瘻管が鼻と繋がってしまう。

 

下顎骨骨折

もろくなった骨は容易に骨折してしまいます。

 

全身疾患

腎臓病や弁膜症の原因となることも示唆されています。

 

 

歯周病の初期であれば、病院で歯石除去を行い、

さらにご家庭でケアを続けることで歯肉の状態を正常に保つことができます。

 

 

 

 

歯石は万病の元になりうると考えています。

歯石が重度に付着する前に一度、口腔内のお悩みを相談されてみてはいかがでしょうか。

 

 

 

 

 

 

 

 

最後に当院で歯石除去を行った患者さんの紹介です。

犬の歯石除去前

 

 

 

 

 

中程度の歯石が付着しています。

歯肉と歯の間のポケットはそれほど深くありませんでした。

 

 

 

 

 

 

歯石除去を行っているところです。

歯石除去

全身麻酔下で超音波スケーラーを用いて行います。

清潔な環境で行います。必要があれば抜歯も行います。

 

 

 

 

 

 

右の黄色い麻酔器、麻酔薬を用います。

麻酔薬 安全性

 

セボフルランというガス麻酔薬です。

従来のイソフルランより効きがよく、覚めやすいです。

この麻酔薬はあまり一般の動物病院には普及していませんが、

当院はより安全な麻酔を行うために導入しています。

 

 

 

 

 

スケーリング後です。

スケーリング前

犬の歯石除去前

 

最初の写真と比較するとかなり綺麗になったことがわかります。

歯周ポケットの歯石も除去しています。

 

 

長くなってしまいました。